PLCプログラムを変更せずにカメラ連携を実現|Connected PLC™ for i-PROの機能を解説

「PLCとカメラを連携させたいが、PLCのプログラムを触るのは怖い。」「工数もリスクも最小限で、映像連携の仕組みを追加したい。」
製造現場や設備担当者のそんな声に応えるのが、PLC連携アプリケーション「Connected PLC™ for i-PRO」です。
Connected PLC™ for i-PRO は、既存PLCのプログラムを変更せずに、カメラ・レコーダー・積層信号灯などとの連携を実現するアプリケーションです。i-PRO株式会社のネットワークカメラ上で動作し、PLCのイベントと映像を自動で紐づける仕組みを、シンプルな設定だけで構築できます。
本記事では、Connected PLC™ for i-PRO の仕組み・主要機能・対応カメラの選び方・導入ステップ・活用シーンまでを、現場担当者・設備エンジニアの方に向けて体系的に解説します。
この記事は、以下のような方に向けた内容です。
・PLCプログラムを変更せずにカメラ連携を追加したい方
・チョコ停や設備異常の原因を映像で確認したい方
・既存ラインへの影響を抑えて後付けで監視システムを導入したい方
目次
1.PLCプログラムを変更せずにカメラ連携できる
PLC連携アプリケーション「Connected PLC™ for i-PRO」とは?
Connected PLC™ for i-PROは、既存のPLCプログラムを変更せずに、PLCのデータ変化をカメラ録画や外部通知などの動作につなげるためのPLC連携アプリケーションです。ここでは、Connected PLC™ for i-PROがどのような役割を持つアプリケーションなのか、従来方式との違い、対応しているPLCメーカー・通信プロトコルについて説明します。
PLCの信号を読み取り、カメラや外部機器へつなぐ役割
Connected PLC™ for i-PROは、PLCのデータを読み取り、その変化をきっかけにカメラ・レコーダー・積層信号灯などへ動作指示や通知を行うアプリケーションです。i-PRO株式会社のネットワークカメラに機能拡張アプリケーションとしてインストールして使用します。
基本的な動作の流れは、以下のとおりです。
- PLC内のデータを一定間隔で読み取る
- 異常ビットの立ち上がりや数値のしきい値超過など、データの状態変化を検知する
- 検知した内容に応じて、あらかじめ設定した機器へ動作指示や通知を送信する
これにより、PLCのイベントをきっかけに、カメラの録画開始、PTZカメラのプリセット位置への移動、積層信号灯の発報などを自動で実行できます。現場担当者が手動でカメラを操作しなくても、異常発生時の状況を自動で記録し、後から確認しやすくなるため、トラブル発生後の原因調査や状況把握を効率化できます。
従来方式との違い——PLCプログラムを変更しない非侵襲接続

従来のカメラ連携では、PLCの制御プログラムにカメラ制御のロジックを追記する必要がありました。これは開発工数がかかるうえ、変更によるバグがPLC動作に影響するリスクを伴います。Connected PLC™ for i-PRO が採用しているのは非侵襲接続という考え方です。PLCのデータは「参照(読み取り)するだけ」で、PLCの制御ロジックには手を加えません。
この設計がもたらすメリットは3点あります。
・既存のPLCプログラムを変更せずに導入できるため、導入時の誤動作リスクを抑えやすい
・アプリケーション側の設定や参照アドレスに誤りがあった場合でも、PLCの制御ロジックへ直接影響しにくい
・既存システムへの改修範囲を抑えながら、カメラ連携の仕組みを追加しやすい
なお、PLCイベントをトリガーにした録画・通知用途では、PLC内のデータを読み取る構成が基本です。
一方で、後述するAIカメラによる異常検知結果をPLC内の指定デバイスへ書き込むことも可能です。
ただし、PLC側でその書き込みデータを制御に利用する場合は、既存プログラムの設計や使用中デバイスとの整合確認が必要となります。
Connected PLC™ for i-PROは、PLCプログラムを変更せずにカメラ連携の仕組みを追加できるため、導入後に既存ラインへ予期しない影響が出るリスクを抑えやすい点が特長です。
非侵襲接続の考え方やネットワークカメラとPLCの連携についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
対応PLCメーカー・通信プロトコル
主要な国内PLCメーカーと、オープン標準規格のOPC UAに対応しています。
| PLCメーカー・規格 | 通信プロトコル |
| 三菱電機株式会社 | SLMP(TCP/UDP) |
| オムロン株式会社 | FINS(TCP/UDP) |
| 株式会社キーエンス | 上位リンク通信(TCP/UDP) |
| OPC UAサーバー | OPC UA(TCP/UDP) |
OPC UAはFA・製造業界で広く採用されているオープン国際標準規格です。特定のPLCメーカーに縛られない環境や、異なるメーカーのPLCが混在するシステムにも対応できます。
2.Connected PLC™ for i-PRO の3つの主要機能
Connected PLC™ for i-PROでは、PLCのデータ変化を起点に、カメラ録画、積層信号灯の発報などを自動化できます。また、AIカメラの検知結果をPLCへ通知したり、HTTP通信を使って外部システムと連携したりすることも可能です。ここでは、現場での使い方をイメージしやすいように、主な3つの機能に分けて紹介します。
① PLCイベントをトリガーにした機器連携
PLCのデータ変化を検知し、あらかじめ設定した機器へ動作指示や通知を送信する機能です。停止イベントや設備異常などをきっかけに、カメラ録画や外部通知を自動で実行できます。
設定例:
・停止イベント発生 → カメラが録画開始
・設備異常 → 積層信号灯の発報
現場担当者が手動でカメラを操作しなくても、異常発生時の状況を自動で記録しやすくなります。また、事後にPLCのイベントログと映像を突き合わせることで、原因調査や状況確認の作業を効率化できます。
② AIカメラによる異常検知とPLCへの通知
AIカメラで検知した結果をPLCへ通知する機能です。PLCからカメラや積層信号灯へ動作指示や通知を送信するだけでなく、カメラ側で検知した異常をPLCへ通知することで、映像を起点にした設備制御にも活用できます。
設定例:
・AIカメラが危険エリアへの人の侵入を検知 → PLCへ異常信号を通知 → 積層信号灯の発報や設備側の制御との連携
人の動きや侵入など、センサーだけでは捉えにくい状況を映像から検知し、PLC側の制御に連携できる点が特長です。プレス機やロボットアームなど、危険を伴う設備周辺の安全管理にも活用できます。
本機能は映像検知結果をPLCへ通知するものであり、安全規格に基づく安全機器・安全制御の代替を目的としたものではありません。
実際の設備制御へ利用する場合は、現場の安全設計に基づいて構成をご確認ください。
なお、侵入検知などの用途でAIによる映像検知を行う場合は、AI動体検知アプリケーション(WV-XAE200WUX)を別途組み合わせて使用します。AI動体検知アプリケーション(WV-XAE200WUX)は別売です。
また、AI動体検知アプリケーションが検知した異常の種類や詳細情報を区別してPLCへ通知することはできません。PLCへ通知できるのは、異常の有無です。
③ HTTP通信による外部システム連携
HTTP通信を使って、外部システムや各種機器と連携する機能です。Connected PLC™ for i-PROは、AnonymousおよびBasic認証を使ったHTTP通信に対応しており、i-PRO株式会社のネットワークカメラやレコーダーへHTTPコマンドを送信して制御することができます。
拡張できる機器・サービスの例:
・ネットワークカメラ・レコーダーへHTTPコマンド送信による制御
・積層信号灯の制御
既存のネットワーク環境を活用できるため、専用ユニットや追加配線をできるだけ増やさずに、外部通知や機器制御の仕組みを追加できます。既存設備を活かしながら、段階的にシステムを拡張したい場合にも適しています。
3.【カメラ選定】固定運用 vs 可搬運用——対応ネットワークカメラの選び方
Connected PLC™ for i-PROとネットワークカメラの組み合わせは、現場での運用スタイル「常設での固定運用か持ち運んで使う可搬運用か」によって変わります。
| 項目 | 固定運用 | 可搬運用 |
| 主な用途 | 生産ラインの常時監視・録画、安全管理、長期的なデータ蓄積 | 特定の期間や場所のスポット監視、一時的な原因調査 (例:「夏場だけ不具合が出る」など) |
| ストレージ | レコーダー(WJ-NXシリーズ等) | microSDカード |
| 設置方法 | 取付金具で固定設置 | 三脚・仮設治具・可搬用アクセサリーなどで一時設置 |
| 向いているシーン | 停止頻度が高いラインや、ネットワーク環境が整っている現場 | 短期間だけ監視したい場合や、設置場所を変更しながら確認したい現場 |
固定運用のカメラは、停止頻度が高いラインや安全管理上常時録画が必要な工程など、継続的に映像を蓄積したい場合に向いています。
レコーダーと組み合わせることで、異常発生後に該当時刻の映像を確認しやすくなります。
可搬運用のカメラは、特定の期間や場所だけを確認したい場合に有効です。
三脚や仮設治具などを使って一時的に設置し、microSDカードに映像を記録することで、必要な場所をスポット的に監視できます。
選定チェックリスト
・常時監視や長期的なデータ蓄積が必要な場合 → 固定運用(レコーダー構成)
・特定期間・特定場所のスポット監視が目的の場合 → 可搬運用(microSDカード構成)
・LAN配線やレコーダーの設置環境が整っている場合 → 固定運用(レコーダー構成)
・レコーダーを設置せず、短期間のスポット監視を行いたい場合 → 可搬運用(microSDカード構成)
・安全管理のために常時録画が必要な場合 → 固定運用(レコーダー構成)
「どのカメラ構成を選べばよいか分からない」「自社の設備で使えるか確認したい」といった段階でも、お気軽にご相談ください。用途や現場環境に合わせて、適した構成をご提案します。
4.Connected PLC™ for i-PRO の活用シーン

Connected PLC™ for i-PROは、製造ラインの異常解析、一時的な不具合調査、安全管理など、さまざまな現場で活用できます。ここでは、代表的な3つの活用シーンを紹介します。
①製造ラインの異常解析・映像記録
製造ラインで停止や異常が発生した際、PLCのイベントログだけでは、その瞬間に現場で何が起きていたのかを把握しきれない場合があります。Connected PLC™ for i-PROを活用すると、PLCのイベントと映像を紐づけて記録できるため、停止や異常が発生した時刻の映像を後から確認しやすくなります。
たとえば、部品の混入、吸着ミス、ワークの脱落など、センサーだけでは判断しにくい現象の確認に役立ちます。不定期に発生するチョコ停の原因調査や、品質トレーサビリティの強化、報告書作成の効率化にも活用できます。
チョコ停が発生した際の映像活用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
②プラント設備のスポット監視
プラント設備では、バルブ、ポンプ、配管周辺など、特定の設備や場所の動作状況を一時的に確認したいケースがあります。たとえば、特定の条件下で流量が不安定になる、設備周辺で異音や振動が発生する、最近停止が増えている箇所の状況を確認したい、といった場合です。
このような場合は、microSDカードを使った可搬運用により、必要な場所へカメラを一時的に設置し、映像を記録できます。常設カメラやレコーダーを設置する前の事前確認や、短期間のスポット監視として活用しやすい構成です。
※Connected PLC™ for i-PROで録画を開始するには、PLC側で取得できる信号やデータ変化をトリガーとして設定する必要があります。PLC上に状態変化が出ない現象は、PLCトリガーによる自動録画の対象にはできません。
③安全管理における侵入検知
i-PROのAI動体検知アプリケーションと組み合わせることで、映像を使った侵入検知を設備制御に連携できます。
たとえば、AIカメラが危険エリアへの人の侵入を検知した場合、その結果をPLCへ通知し、積層信号灯の発報や設備側の制御との連携に活用できます。光電センサーやエリアセンサーだけでは検知しにくい人の動きを、映像から確認できる点が特長です。プレス機やロボットアームなど、危険を伴う設備周辺の安全対策を強化したい場合に活用できます。
※ 侵入検知を行う場合は、AI動体検知アプリケーション(WV-XAE200WUX)が別途必要です。
5.Connected PLC™ for i-PRO の技術仕様まとめ
| 項目 | 仕様内容 |
| PLC通信プロトコル | 三菱電機株式会社:SLMP(TCP/UDP) オムロン株式会社:FINS(TCP/UDP) 株式会社キーエンス:上位リンク通信(TCP/UDP) OPC UAサーバー:OPC UA(TCP/UDP) |
| 読み取りデータ点数 | 最大16点 |
| 書き込みデータ点数 | 最大16点 |
| 対応通信プロトコル | HTTPリクエスト |
| HTTP認証方式 | Anonymous、Basic認証 |
| ポーリング周期 | 自動設定 |
| 判定 | 単純条件のみ |
| 対応ネットワークカメラ | Xシリーズ、Sシリーズ (一部機種に対応。対応しているカメラの型式については、当社までお問い合わせください) |
| AI動体検知アプリケーション | WV-XAE200WUX AI動体検知アプリケーション |
6.よくある質問
Q. 既存のPLCプログラムは変更が必要ですか?
原則として、既存のPLCプログラムを変更する必要はありません。
PLCイベントをトリガーにした録画・通知用途では、原則としてPLCプログラムの変更は不要です。PLC内のデータを読み取り、その状態変化をもとにカメラ録画や外部通知を実行します。
一方、AIカメラの検知結果をPLCへ通知する構成では、PLC内の指定デバイスへの書き込みを行う場合があります。その書き込みデータを制御に利用する場合は、既存プログラムの設計や使用中デバイスとの整合確認が必要です。
Q. 対応しているカメラはどれですか?
i-PRO株式会社のネットワークカメラのXシリーズ、Sシリーズの一部機種に対応しています。
固定運用ではレコーダーと組み合わせて記録し、可搬運用ではmicroSDカードに記録する構成で利用できます。対応機種の詳細については、製品ページをご確認いただくか、当社までお問い合わせください。
7.Connected PLC™ for i-PROの導入について
Connected PLC™ for i-PROは、i-PRO株式会社のネットワークカメラにインストールして使用するPLC連携アプリケーションです。既存のPLCプログラムを変更せずに、PLCのイベントと映像を連携できるため、稼働中の設備への影響を抑えながら映像記録や外部通知の仕組みを追加できます。
「自社のPLC環境で利用できるか確認したい」「固定運用と可搬運用のどちらが適しているか相談したい」「導入コストや構成例を知りたい」といった場合は、製品ページをご確認いただくか、当社までお問い合わせください。

