ソフトウェアPLCとは?なぜ今注目されるのか、後悔しないための選定ポイントまで解説

ソフトウェアPLCは、装置メーカーが制御をソフトウェアとして組み込み、試作から量産まで柔軟に展開するための制御方式です。

FA(ファクトリーオートメーション)や装置制御の現場で、こんな課題に直面していませんか?

  • 「PLCの納期が読めず、生産計画が立てられない…」
  • 「専用機のコストが高く、利益を圧迫している…」
  • 「もっと柔軟に、省スペースでシステムを構築したい…」

もし、こうした課題に一つでも心当たりがあるなら、PCや組込みボード上でPLC機能を実現する「ソフトウェアPLC」が、その解決策となるかもしれません。

本記事では、なぜ今ソフトウェアPLCが注目されているのか、その基本的な仕組みや導入のメリット、そして後悔しないための選定ポイントまで、順を追ってわかりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、ソフトウェアPLCが貴社にとって最適な選択肢となるか、その判断基準が明確になっているはずです。

1.ソフトウェアPLCとは?

ソフトウェアPLC(Software PLC)とは、従来ハードウェアとして提供されていたPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の機能を、ソフトウェアとして実装し、PCやマイコン、SoC上で動作させる制御方式です。リレー制御やシーケンス制御といったPLCの基本機能を、専用ハードウェアに依存せずに構成できる点が特長です。近年では、「装置の小型化、コスト削減、制御の柔軟性向上」といった要求から、ソフトウェアPLCを採用する装置メーカーが増えています。

2.なぜ今、ソフトウェアPLCが注目されているのか

ソフトウェアPLCが注目されている背景には、装置開発を取り巻く環境の変化があります。従来のハードPLC中心の構成は、多くの現場で標準的に採用されてきましたが、近年ではその限界が顕在化しつつあります。

例えば、小規模な制御であってもPLCが過剰仕様になってしまうケースや、装置ごとの最適化が難しいという課題があります。また、コストや部品点数の増加、制御盤サイズの肥大化といった問題も無視できません。こうした状況の中で、従来の構成を前提とした設計思想そのものを見直す必要が出てきています。

そこで求められているのが、制御を「ハードウェア」ではなく「ソフトウェア部品」として扱うという考え方です。装置ごとに最適化された制御を内製化し、既存のC/C++資産を活用しながら柔軟に構築することが可能になります。さらに、試作段階から量産まで同じ制御方式を適用できるため、開発効率の向上や保守性の改善にもつながります。

こうした背景から、制御をソフトウェアとして組み込むソフトウェアPLCが、現実的な選択肢として検討されるようになっています。

3.ソフトウェアPLCの主な種類

ソフトウェアPLCは、大きく2つに分類されます。

① PCベースのソフトウェアPLC
Windowsなどの汎用OS上で動作するタイプです。高い演算能力を活かすことができ、シミュレーションや研究開発用途などに適しています。また、既存のPC環境を活用しやすい点も特長です。一方で、産業用途で使用する場合には、信頼性の高い産業用PCを選定する必要があり、システム構成によってはコストが高くなるケースもあります。

② 組込み向けソフトウェアPLC
マイコンやSoCなどの組込み環境で動作するタイプです。装置に最適化した制御構成を設計できるため、装置の小型化やコスト最適化を図りやすい点が特長です。また、装置専用の制御システムとして設計できるため、量産装置への展開にも適しています。

用途やシステム構成によって、PCベースと組込み向けのいずれかが選択されます。

4.ハードウェアPLCとソフトウェアPLCの違い

ハードウェアPLC VS ソフトウェアPLC

項目ハードウェアPLCソフトウェアPLC
実装形態専用ハードウェアソフトウェア
拡張性機種ごとの機能に依存ソフトウェア構成により柔軟に拡張可能
装置最適化構成が固定されやすい装置に合わせて設計可能
PC言語(C / Pythonなど)との連携専用環境中心で連携範囲が限定されやすい汎用OS・PC言語と連携しやすい
適用規模ラインナップに依存ハード構成によりスケーラブルに対応

5.ソフトウェアPLCが向いている用途

ソフトウェアPLCは、用途や条件に応じて選択することで、その特長を最大限に活かすことができます。

装置ごとに制御仕様が異なる場合には、標準化された構成に依存するのではなく、柔軟に設計できるソフトウェアPLCが適しています。また、小規模から中規模の制御においても有効な選択肢となります。必要な機能のみを実装できるため、過剰なハード構成を避け、コストやシステム規模を適切に抑えることが可能です。

制御を内製化し、差別化を図りたい場合にも効果を発揮します。既存のソフトウェア資産を活用しながら、自社独自の制御技術を構築できる点は大きな強みです。加えて、試作から量産まで同一の制御方式を適用できるため、開発効率や保守性の向上にもつながります。

このような用途では、ソフトウェアPLCのメリットを最大限に活かすことができます。

6.ソフトウェアPLCのデメリットと解決策

多くのメリットがある一方で、導入前に知っておくべきデメリットや懸念点も存在します。しかし、近年の技術進歩により、これらの課題の多くは解決可能です。

①リアルタイム性の確保は可能か?

Windowsなどの汎用OSは、本来リアルタイム制御(定周期性)を保証するように設計されていません。そのため、そのままではナノ秒単位の厳密な制御周期を守れない可能性があります。

【解決策】「リアルタイムOS(RTOS)」を併用することで、汎用OSの利便性を活かしながら、定周期性が求められる制御にも対応しやすくなります。

②ハードウェアの信頼性と長期供給が可能か?

一般的なPCは、工場のような過酷な環境(温度、振動、埃)での使用を想定しておらず、またモデルチェンジのサイクルも早いため、長期的な部品供給に不安があります。

【解決策】「産業用PC(IPC)」や「産業用組込みボード」を選定することで解決します。これらは耐環境性に優れ、長期供給が保証されている製品も多く存在します。ソフトウェアPLCはハードウェアを選ばないため、信頼性の高い産業用ハードウェアと組み合わせることで、専用PLCと同等以上の堅牢なシステムを構築できます。

③開発環境の変化に対応できているか?

これまでハードウェアPLCの専用ツール(ラダー言語など)に慣れ親しんだ技術者にとって、C言語など全く新しい言語での開発は学習コストが高く、導入のハードルとなります。

【解決策】「IEC 61131-3準拠」のソフトウェアPLCを選ぶことが重要です。これはPLCの国際標準規格で、従来のラダー言語などをそのまま使用できるため、新たな言語を一から習得する必要がありません。また、ラダー言語とC言語などのプログラムを連携させることができる環境であれば、既存資産を活かしながら段階的に移行することも可能です。

7.ソフトウェアPLC選定時のポイント

ソフトウェアPLCの選定では、用途や求められる制御性能、量産展開の有無などを踏まえて、自社に適した構成を見極めることが重要です。特に装置メーカーでは、組込み対応の可否が重要な判断材料になるケースもあります。

ソフトウェアPLCを検討する際は、以下の点が重要です。

組込み用途(マイコン/SoC)に対応しているか

対応OS(Non-OS / RTOS / Linux など)

IEC61131-3への対応状況

既存C/C++資産と連携できるか

試作用途だけでなく、量産にも対応できるか


8.組込み向けソフトウェアPLCの選び方|装置メーカーが確認すべきポイント

なぜ「組込み向け」であることが重要なのでしょうか。

ソフトウェアPLCには、PC上で動作するものから、マイコンやSoCに組み込んで使用するものまで、さまざまな形態があります。装置メーカーが制御用途でソフトウェアPLCを検討する場合、「組込み用途を前提に設計されているかどうか」 が重要な判断基準となります。

PCベースのソフトウェアPLCは、高い演算能力を活かせるため、評価・シミュレーション用途や情報処理を伴う用途に適した選択肢です。一方で、装置への組込みを前提とする場合には、ハードウェア構成やOS依存性、コスト面も含めて検討する必要があります。

一方、組込み向けソフトウェアPLCは、装置のCPU構成や制御規模に合わせて最適化でき、試作から量産まで同一アーキテクチャで展開できる点が特長です。

9.組込み向けソフトウェアPLCの代表例:INTALOGIC5

ソフトウェアPLCは、求められる性能、コスト、実装形態によって適した選択肢が異なります。そうした中で、PCベース/組込みベースのいずれにも対応可能な選択肢の一つとして、INTALOGIC5があります。

本製品は、従来製品(INTALOGIC)の後継として開発された現行の主力製品です。装置メーカー向けに設計された組込み型ソフトウェアPLCであり、以下のような特長を備えています。

マイコン/SoCへの組込みに対応

IEC61131-3による制御記述

C/C++で作成した関数をラダーから直接呼び出し

試作から量産まで同一構成で展開可能

ソフトウェアPLCは、制御をソフトウェアとして設計するための有力な選択肢です。装置構成や制御規模によって適用可否は異なるため、導入にあたっては事前の技術的検討が重要になります。求められる性能や将来的な量産展開までを見据えたうえで、最適な構成を選定することが求められます。

INTALOGIC5では、試作・評価段階から量産を見据えた技術検討まで一貫して対応しています。装置メーカーの開発プロセスに寄り添いながら、制御設計の最適化を支援します。

10.関連ページ

INTALOGIC5関連ページ

ソフトウェアPLCは、用途やシステム構成によって適した製品が大きく異なります。特に組込み機器向けでは、リアルタイム性やOS依存、既存のC/C++資産の活用など、一般的なソフトウェアPLCとは異なる観点での選定が重要になります。組込み機器に適したソフトウェアPLCの考え方や、その代表例としての INTALOGIC5の特長・活用イメージ については、以下のページで詳しく紹介しています。

より詳しい仕様や機能、技術的な情報を確認したい方は、以下の INTALOGIC5 商品ページをご覧ください。

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